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第4章 · マネジメント

作りたい機能が、納期に収まらない。

受注連携に加え、見積りの自動作成もほしい。増える要望を前に、葵は開発会社の井上と影響を調べ、小野たちと試行の範囲を選びます。既存ERPとの接続、合意、見積り、テスト、稼働後の役割まで、実現できる計画にしていきます。

6つのテーマ24項目18の図解
この章の目次・学習項目

この章も、新卒コンサルタントの葵と先輩の佐伯が、大手メーカー「アステラ製作所」の受注・生産・出荷をつなぐ案件に取り組みます。

会話と図解で読み進め、詳しい説明は各項目で開けます。

01
作り始める前に、仕事を描く

画面の外に、要件が落ちていた

現状と目指す業務を、関係者が読める図にする。

試行の開始前|業務整理のワークショップ

試行の方針が決まっても、具体的な役割はまだ埋まっていなかった。葵がポータルの流れを説明すると、小野が営業から届いた変更表を開いた。

小野
生産管理責任者

こちらの変更注文は、いつ在庫へ反映されますか。同じ部品を別の受注に割り当てたあとでは、納期の回答が変わります。

初回と同じ問題が、今度は具体的な処理の問いになって戻ってきた。

新卒ITコンサルタント

営業経由とポータル経由の注文を同じ在庫へつなぐところが、図に入り切っていませんでした。入力から変更・取消しまで、一緒に確認させてください。

完成した図を見せる時間より、空白を関係者と埋める時間が必要だった。

EA

本社の集計だけを便利にすると、拠点の入力が増える案になっていた。葵は局所的な効率化を、会社全体の目的へ戻して評価した。

業務・データ・アプリ・技術を、会社全体で整える。部署だけ便利でも、全体でつながらなければ困る。

01記録の正確さと、つながりの深さ
SoRSystems of Record
会計や在庫など、確かな業務記録を支える
SoESystems of Engagement
顧客との対話や関係を支える
詳しい説明・条件・具体例

業務の効率化、データの蓄積、法令遵守などのために情報システムを活用します。費用や影響も大きいため、経営戦略と整合させて目的・範囲・活用方法を定めるのが情報システム戦略です。

EA(エンタープライズアーキテクチャ)は、企業全体の最適化を目指し、現状と目標の姿を整理する考え方です。ビジネス(業務)、データ、アプリケーション、テクノロジー(IT基盤)の四つの観点を対応させます。

小野
生産管理責任者

本社の集計が減るのは助かります。でも、その分を工場で入力するなら、朝は難しいです。

新卒ITコンサルタント

効率化と書いたのは、本社だけの話になっていました。どこで情報が生まれるかから見直します。

井上
開発会社のPM

最初の入力をほかの処理でも使えるようにすれば、転記を減らせるかもしれません。

新卒ITコンサルタント

業務、データ、アプリ、IT基盤をつなげて確認するんですね。会社全体の目的に戻って、増える仕事も含めて比べます。

DFD・BPMN・アクティビティ図

データの流れを確認したい井上と、人の作業順を確認したい小野に、葵は同じ図を見せていた。

DFDはデータの流れ、BPMNなどは業務や処理の流れを描く。知りたいことに合う図を選ぶ。

02受注で流れるデータを読む
お客さん → 受注受付商品・数量・出荷時間を渡す
受注受付 → 受注データ受け付けた注文を保存する
受注データ → 製造計画必要な数を集計して取り出す
DFDで考えるときは、矢印を「次に行う作業」ではなく「渡すデータ」として読みます。
DFD|データフロー図
処理、データの流れ、保存先、外部とのやり取りに着目します。
BPMN
業務プロセスの共通の表記法。
アクティビティ図
UMLの図の一つ。処理の順序や条件による分岐などを描く。
詳しい説明・条件・具体例
DFD|データフロー図
処理、データの流れ、保存先、外部とのやり取りに着目します。矢印はデータフロー、処理はプロセス、保存先はデータストア、外部の主体はデータの源泉・吸収を表します。
BPMN
業務プロセスの共通の表記法。担当者や部門ごとのレーンなどを使い、誰がどんな処理を行うかを表します。
アクティビティ図
UMLの図の一つ。処理、分岐、並行処理など、活動の流れを表します。担当範囲を表すこともできます。
新卒ITコンサルタント

DFDでデータ、BPMNなどで業務の流れを確認します。誰が何を確かめたい図なのか、先にそろえます。

BPR・BPM

二重入力を自動化するか、二重入力そのものをなくすか。葵は、今ある手順をそのまま速くする前に、業務を組み替える案を比較した。

BPRは業務を根本から組み替える。BPMは業務の流れを管理し、改善を続ける。

03改善の大きさと続け方
BPRBusiness Process Reengineering
業務を根本から再設計する
BPMBusiness Process Management
分析・設計・実行・改善を継続する
詳しい説明・条件・具体例

営業経由とポータル経由で別々に管理していた受注を、一つの受付と在庫管理へ組み替えるのはBPRの考え方です。導入後も待ち時間や入力ミスを測り、改善を繰り返す活動はBPMです。BPRも「企業に一生一度だけ」という意味ではありません。

田中
物流担当

この数字、毎回二つの画面へ入れています。自動で写してもらえませんか。

新卒ITコンサルタント

写す作業を速くする案と、そもそも二回入れなくて済む案を比べたいです。二つ目では、何の確認をしていますか。

田中
物流担当

製造現場へ渡す前に、担当者が見直しています。

新卒ITコンサルタント

見直す仕事は残しながら、二重入力をなくせないか考えます。変えた後も測って直す、BPMの進め方までセットにしましょう。

営業経由とポータル経由の受注を同じ在庫へつなぐ案がまとまった。佐伯は「誰の仕事が増え、誰の仕事が減った?」と聞いた。葵は変更箇所だけでなく、現場への影響を一覧にした。

ちょっと考えてみよう矢印に「注文データ」「在庫情報」と書いて、保存先との関係を描きたい。どの図?考え方をひらく +

DFDです。処理の順番だけでなく、どのデータが、どこからどこへ流れるかに注目します。

02
「ほしい」を、作れる約束にする

「お任せします」は、仕様にならなかった

要求を、合意できて確かめられる条件へ変える。

開発準備|顧客・ベンダー合同会議

井上
開発会社のPM

その日に出荷できる量を超えたら、次の出荷日を案内しますか。それとも、生産管理の回答待ちにしますか。

新卒ITコンサルタント

そこは、まだ決めていませんでした。

井上
開発会社のPM

取消しのときも確認したいです。在庫を戻して、すぐ次の受注を受けてよいのでしょうか。

小野
生産管理責任者

作り始めた後だと扱いが違います。締切の前後を分けて、こちらで確認します。

葵は、顧客が決めることまでベンダーが考えてくれると思っていた。

佐伯
先輩ITコンサルタント

業務の判断は顧客と決める。実現方法は専門家と詰める。間の言葉をそろえるのが、私たちの仕事だよ。

ユーザー企業・ベンダー企業

ユーザー企業、ベンダー、コンサルタントの間で、どこまで決める立場かを整理した。葵は、顧客の代わりに業務判断を確定しないよう気を付けた。

使う側が目的や業務を伝え、作る側が技術で形にする。どちらか一方だけでは決められない。

04作る前から、使い続けるまで
企画目的、構想、進め方を定める
要件定義業務上、実現すべきことを明確にする
開発設計・実装・テストを行う
運用と保守サービスを提供し、必要な修正を行う
詳しい説明・条件・具体例

システムを使う側がユーザー企業、製品や開発サービスを提供する側がベンダー企業です。企画・設計・開発・導入などを統合的に担う企業をシステムインテグレーター(SIer)と呼びます。

共通フレームは、ソフトウェアライフサイクルプロセス(SLCP)の考え方などを基に、作業・役割・用語の認識を合わせるための枠組みです。代表的な流れは、企画、要件定義、開発、運用、保守。固定した一つの開発手順をすべての現場に強制するものではありません。

井上
開発会社のPM

取消しの締切は、こちらで決めてよい条件でしょうか。

新卒ITコンサルタント

いえ、工場の業務判断なので顧客と決めます。実現方法と技術的な制約は、一緒に検討させてください。

佐伯
先輩ITコンサルタント

葵は、その間の未決事項を追ってくれるかな。誰に任せたか分からないまま残ることを防ぎたい。

システム化計画・要件定義

「使いやすく」「すぐ表示」は、人によって意味が違った。葵は、誰がどの操作を何秒程度で行えるか、条件を具体化した。

目的・範囲・費用などを考え、必要な機能と性能などの条件を決める。作る前に認識をそろえる。

システム化構想
どの業務を、何のためにシステム化するかを考えます。
システム化計画
予算、人員、スケジュール、実施体制など、どう進めるかを具体化します。
業務要件定義
業務を成立させるルール、情報、役割、手順を明確にします。
詳しい説明・条件・具体例
システム化構想
どの業務を、何のためにシステム化するかを考えます。
システム化計画
予算、人員、スケジュール、実施体制など、どう進めるかを具体化します。
業務要件定義
業務を成立させるルール、情報、役割、手順を明確にします。例えば「領収書を画像で添付し、上長が承認する」など。

利用者側の課題や優先順位は、開発会社へ丸投げできません。何を実現したいかを共有し、技術的な方法は専門家と相談して決めます。

新卒ITコンサルタント

「すぐ表示する」は、どの場面で必要でしょう。

田中
物流担当

出荷便の締切前です。一件ずつ一覧を待っていると、後の照合作業まで押してしまいます。

井上
開発会社のPM

同時に使う台数やデータ件数も決めて、同じ条件で測りたいです。

新卒ITコンサルタント

出荷指示の一覧を対象に、台数、件数、許容時間を相談します。機能があることと、実務で使える品質を分けて約束します。

RFI・RFP

候補の技術をまだ知らない段階の質問と、具体的な提案を求める依頼を分けた。葵は、先に情報を集める項目を整理した。

RFIは情報提供の依頼。RFPは提案の依頼。まず調べてから、条件を示して提案を求める。

05候補を知り、具体案を比べる
RFI|情報提供依頼製品・サービス・技術などの一般的な情報を集める
RFP|提案依頼目的や要件を示し、費用・体制・日程を含む提案を求める
評価・選定・契約条件と実現性を比べ、調達先を決める
詳しい説明・条件・具体例

RFIはRequest for Information、RFPはRequest for Proposal。最安値だけでなく、品質、運用、保守、拡張性などを評価します。RFIを必ず行わなければRFPを出せない、という決まりではありません。

新卒ITコンサルタント

候補の会社ごとに、見積りに含まれるものが違いました。このままでは金額だけ比べられませんね。

佐伯
先輩ITコンサルタント

まだ選択肢を知りたいことはRFIで、具体案を比べたいことはRFPで整理しよう。

新卒ITコンサルタント

必要な条件をそろえてから提案をお願いするんですね。回答の形式も、比較できるように合わせます。

システム設計・ソフトウェア設計

画面の話から、処理の分担、データ、プログラム内部の設計へ進む。葵は、今どの範囲をレビューしているのかを確認した。

全体をどう構成するかを決め、次に各ソフトウェアの動きを詳しく決める。

06設計を、具体的な実装へ近づける
システム要件定義システム全体が満たすこと
システム方式設計機器・ネットワーク・ソフトの構成
ソフトウェア要件定義プログラムが満たす機能や条件
ソフトウェア方式設計プログラムを分け、連携させる方法
ソフトウェア詳細設計コードを書ける粒度の処理やデータ
機能要件
システムが何を行うか。
非機能要件
性能、可用性、セキュリティ、運用性など、機能以外の品質や条件。
外部設計(基本設計)
画面や入出力など、利用者から見える側の設計。
内部設計(詳細設計)
処理手順やデータ構造など、内部の具体的な設計。
詳しい説明・条件・具体例

システムは機器・ソフトウェア・データベースなどを含む仕組み全体、ソフトウェアはその中で動くプログラムです。要件定義は「何を」、方式設計は「どう実現」、詳細設計は「実装できる細かさまで」という違いです。

機能要件
システムが何を行うか。ログイン、受注、取消しなど。
非機能要件
性能、可用性、セキュリティ、運用性など、機能以外の品質や条件。例えば同時アクセス数や復旧時間。
外部設計(基本設計)
画面や入出力など、利用者から見える側の設計。
内部設計(詳細設計)
処理手順やデータ構造など、内部の具体的な設計。

システム全体の要件と方式、ソフトウェアの詳細を区別すると、業務側が判断する点と開発側が担う点を見失わずに済んだ。

単体・結合・システム・運用・受入テスト

井上
開発会社のPM

このプログラム部品の単体テストは終わりました。次はほかの処理とつないで確認します。

葵は「テスト済み」で完成だと思いかけた。工場の一日の流れは、まだ通していない。

部品、部品同士、全体、実際の運用、依頼した条件。確かめる範囲と目的を分ける。

07設計した約束を、対応する範囲で検証する
作る側の観点確かめる側の観点
業務・利用者の要件受入・運用テスト
システム全体の設計システムテスト
部品間の設計結合テスト
個々の部品の設計単体テスト
単体テスト
個々のプログラムや部品を確認します。
結合テスト
部品同士の連携やインターフェースを確認します。
システムテスト
システム全体が機能・性能などの要件を満たすか確認します。
運用テスト
実際の運用に近い手順や環境で、業務や運用が成立するか確認します。
受入テスト
利用者側が、契約や受入条件を満たすか確認します。
詳しい説明・条件・具体例
単体テスト
個々のプログラムや部品を確認します。
結合テスト
部品同士の連携やインターフェースを確認します。
システムテスト
システム全体が機能・性能などの要件を満たすか確認します。
運用テスト
実際の運用に近い手順や環境で、業務や運用が成立するか確認します。
受入テスト
利用者側が、契約や受入条件を満たすか確認します。

設計を具体化して実装し、対応するテストで確かめる関係を表すのがV字モデルです。工程名や対応の細分化には流儀があります。

ブラックボックステストは内部を見ず、入力と出力で確認します。ホワイトボックステストは分岐や経路など内部構造に着目します。これらは単体テストだけの専用技法ではありません。関係者が成果物を一緒に確認する共同レビューも、工程の認識ずれを早く見つける助けになります。

新卒ITコンサルタント

プログラム単体が動くことと、全体がつながること、業務として使えることは別ですね。

田中
物流担当

受入テストには、営業から直前の変更が入ったケースも混ぜていいですか。現場ではそこが気になるので。

新卒ITコンサルタント

ぜひお願いします。在庫と指示書にどう反映されるか、営業側と一緒に確かめましょう。

システム運用・保守

納品日の欄は埋まっていたが、翌朝の問い合わせ先が空白だった。葵は運用と保守の役割を確認した。

運用は日々使える状態を支える。保守は不具合や環境の変化に合わせて直す。

08運用と保守は、同じではない
運用日々の監視、バックアップ、利用者対応などでサービスを提供
保守不具合の修正、機能追加、環境・法令変更への対応
詳しい説明・条件・具体例

移行は、本番で使える状態へ橋渡しする作業です。ソフトウェア導入、データ移行、利用者教育、運用手順の引継ぎなどを含みます。

開発チームだけで完成とせず、運用する人が、連絡先や復旧手順を理解しているかも確認します。使い始めることは、サービスを続ける仕事の始まりです。

小野
生産管理責任者

朝、一覧を開けなかったら、誰へ電話すればいいですか。

葵は納品日の欄の下に、新しい行を書き足した。

新卒ITコンサルタント

翌朝のことが抜けていました。受付時間と連絡先、復旧までの工場の手順も確認します。

井上
開発会社のPM

日々の運用と、プログラムの修正をする保守では、担当が分かれる部分があります。そこも明記します。

小野
生産管理責任者

利用者が増えたり、商品の扱いが変わったりしたときも、相談先が分かると助かります。

葵は要件ごとに、決める人、回答期限、確認するテストを結び付けた。

井上
開発会社のPM

これなら、未確定のところを分けて見積もれます。回答をいただいたら、処理とテストへ反映します。

新卒ITコンサルタント

条件が変わった箇所は分かるようにして、皆さんへ戻します。

分からないことを隠さない資料が、ここでも役に立った。

ちょっと考えてみよう「受注を取り消せる」は機能要件。「繁忙時でも2秒以内に表示する」は?考え方をひらく +

性能に関する非機能要件です。「何をするか」と「どの品質・条件で動かすか」を分けます。

03
小さく試すか、順序を固めるか

変更を嫌う人と、早く試したい人

不確かさに合う進め方と、品質の確認を選ぶ。

計画レビュー|開発の進め方を決める

小野
生産管理責任者

実際に触ってみないと、操作のしやすさは判断しにくいです。途中で直す相談もできますか。

高橋
経理担当

一方で、費用がどこまで増えるかは決めておきたいです。毎回追加では、予算を組めません。

葵は、どちらかの方式を選べば全員が納得すると思っていた。

佐伯
先輩ITコンサルタント

方式の名前を選ぶ前に、どこが確定していて、どこが試さないと分からないかを分けよう。

新卒ITコンサルタント

既存ERPとの接続条件と、出荷画面の操作感では、不確かさが違いますね。

ウォーターフォール・アジャイル

ウォーターフォールとアジャイルを、古い・新しいという順位で比べていた葵は、手戻りの大きさと不確かさで比較し直した。

工程を順に進めるか、小さく作って確認を繰り返すか。変更への向き合い方が違う。

09進め方の違い
ウォーターフォール要件、設計、実装、テストを段階的に進める
アジャイル短い周期で作り、確かめ、改善する
詳しい説明・条件・具体例

ウォーターフォールは工程と成果物を管理しやすい一方、後からの大きな変更には負担がかかります。アジャイルは変化に応じやすい一方、継続した対話、優先順位付け、品質管理が欠かせません。「計画をしない」「文書を一切作らない」という意味ではありません。

小野
生産管理責任者

画面は触りながら直したいです。でも、全部が毎週変わるとついていけません。

新卒ITコンサルタント

確定させる条件と、試しながら決める操作を分けましょう。反復する範囲を先に示します。

高橋
経理担当

変更するたびに、費用の確認を挟めますか。

新卒ITコンサルタント

はい。進め方の名前で安心していただくより、何をいつ合意し直すかを具体的に決めます。

XP・テスト駆動開発・リファクタリング

開発チームのペア作業を見て、葵は人件費が二倍になるだけではと思った。

新卒ITコンサルタント

同じ作業を二人ですると、時間が余分に掛かりませんか。

井上
開発会社のPM

掛かる時間は見ます。その一方で、書いている途中で誤りに気付いたり、知識を共有したりする狙いもあるんです。

テストを先に書く、二人で作る、動きを変えず内部を整える。小さな工夫で品質を保つ。

10テスト駆動開発の一周
テストを書く期待する動作を具体化する
テストを通す必要な実装を加える
構造を整える動作を保ってリファクタリング
ペアプログラミング
二人で、コードを書く役と確認する役などを分担して作る。
リファクタリング
外から見える動作は変えず、コードの内部構造を整える。
テスト駆動開発(TDD)
先にテストを書き、通る実装を作り、内部構造を整える。この順を繰り返す。
詳しい説明・条件・具体例
ペアプログラミング
二人が、コードを書く役と見通し・確認を担う役などを分担し、協力して実装します。
リファクタリング
外部から見た振る舞いを保ちながら、内部構造を改善します。機能追加とは区別します。
テスト駆動開発(TDD)
まず失敗するテストを書き、それが通る最小限の実装をし、構造を整える循環です。

XP(エクストリームプログラミング)は、コミュニケーション、シンプルさ、フィードバック、勇気、尊重という価値を重視します。プラクティスの整理や数は版によって異なります。

XPの実践を理解すると、作業時間だけでは測れない品質の工夫を聞ける。採用するかは、チームの条件と合わせて判断する。

スクラム

短い周期のレビューで、画面は改善したのに、会議が長引いていた。葵は成果を確認する場と、進め方を振り返る場を分けた。

短い期間で成果を作り、成果と進め方をそれぞれ見直す。役割とイベントで協働を支える。

11一つのスプリントで行うこと
  1. プランニング目標と取り組む仕事を決める
  2. デイリースクラム毎日短時間で、目標への進み方を調整する
  3. レビュー関係者と成果を見て、今後を検討する
  4. レトロスペクティブチームの進め方を振り返り、改善する
詳しい説明・条件・具体例

スクラムは、短いスプリントを繰り返して価値を生むための枠組みです。スプリントは1か月以内の一定期間。目標に向けて使える成果を少しずつ積み上げます。

井上
開発会社のPM

今日のレビューでは、できた画面を見ていただきたいです。会議が長引く問題は、チームの振り返りで扱います。

新卒ITコンサルタント

成果を見る場と、進め方を改善する場ですね。顧客に判断していただくことを、今日の議題に絞ります。

ソフトウェア品質特性

正常な受注はできる。しかしエラーから戻りにくく、初めて触る現場担当者が迷う。葵は「動いた」を品質の全体としないようにした。

速さ・安全性・使いやすさ・直しやすさなども品質。規格の版で分類が変わるため、版も確かめる。

機能適合性
必要な機能を適切に提供する。
性能効率性
時間や資源を効率よく使う。
互換性
他のシステムと共存・連携する。
使用性
利用者が理解し、操作しやすい。
信頼性
必要なときに安定して使える。
セキュリティ
情報とアクセスを適切に守る。
保守性
分析、修正、試験を行いやすい。
移植性
別の環境へ移しやすい。
詳しい説明・条件・具体例
機能適合性
必要な機能を適切に提供する。
性能効率性
時間や資源を効率よく使う。
互換性
他のシステムと共存・連携する。
使用性
利用者が理解し、操作しやすい。
信頼性
必要なときに安定して使える。
セキュリティ
情報とアクセスを適切に守る。
保守性
分析、修正、試験を行いやすい。
移植性
別の環境へ移しやすい。

以上はISO/IEC 25010:2011の製品品質モデルにおける8特性の整理です。2023年版の製品品質モデルは9特性に改訂されています。版によって区分や呼び名が変わるため、問題文や契約で使う規格の版と定義を確認します。大切なのは、「どんな意味で良いシステムなのか」を具体化することです。

田中
物流担当

出荷指示の確認で一項目直そうとしたら、入力が全部消えました。最後まで進めるんですけど、ちょっと怖くて。

新卒ITコンサルタント

その「怖い」が大切な確認事項ですね。どこまで入力した状態で起きたか、見せていただけますか。

田中
物流担当

現品を一通り照合した後でした。どこまで確認したかも消えてしまって、またやり直すのか迷いました。

井上
開発会社のPM

入力を残して修正できるか、確認します。正常に完了するテストだけでは拾えていませんでした。

新卒ITコンサルタント

品質の観点を、この場面で確かめる項目へ落とします。誰がどんな条件で確認するかも決めましょう。

プロトタイピング・リバースエンジニアリング・DevOps

既存システムの仕様が足りず、試作や既存動作の調査が必要になった。運用担当にも早い段階から見てもらうことにする。

試作で確かめる、完成品から仕組みを調べる、開発と運用で協力する。それぞれ目的が違う。

プロトタイピング
早期の試作品を利用者に見せ、認識を合わせながら進める手法。
リバースエンジニアリング
実装されたソフトウェアなどを分析し、仕様や設計を読み解くこと。
DevOps
開発と運用が協力し、改善を継続して届ける。
詳しい説明・条件・具体例
プロトタイピング
早期の試作品を利用者に見せ、認識を合わせながら進める手法。試作の修正を繰り返しすぎる負担にも注意します。
リバースエンジニアリング
実装されたソフトウェアなどを分析し、仕様や設計を読み解くこと。通常の設計→実装とは逆向きです。契約や権利にも注意します。
DevOps
DevelopmentとOperations。開発と運用が協力し、継続的に価値を届けるための文化・実践です。

プロトタイピング、リバースエンジニアリング、DevOpsを、別々の課題へ対応させる。葵は方法の名前ではなく、何の不確かさを減らすかを説明した。

接続や守る条件は先に固め、操作は短い周期で確かめる方針になった。変更する場合の合意方法も決める。「柔軟に進める」が、際限なく仕事を増やす合言葉にならずに済んだ。

ちょっと考えてみようプログラムの動作は変えず、読みにくい構造だけを整える。この作業は?考え方をひらく +

リファクタリングです。テストで振る舞いが維持されていることを確かめながら、内部を改善します。

04
いつ終わるかは、一番遅い道で決まる

「あと一機能」が、公開日を押し出す

作業、依存関係、人の時間を可視化する。

進捗会議|追加要望の相談

森川
事業部長

営業から、見積りの自動作成も同時にできないかと相談されています。毎回の価格確認に時間がかかるそうです。

葵はうなずきかけたが、井上の予定表には受注連携のテストが詰まっていた。

新卒ITコンサルタント

追加する場合の費用、日程、確認範囲を先に見ます。試行の目的と分けて判断していただけるようにします。

井上
開発会社のPM

取引先別の価格条件も必要です。画面を一つ増やすだけでは済まないので、影響を整理して戻します。

佐伯
先輩ITコンサルタント

要望を断るか引き受けるかの二択にしなくていい。何が変わるかを見せて、優先順位を相談しよう。

スコープ・プロジェクト憲章

顧客の要望を聞くことと、すべて今回の約束にすることは違う。葵はスコープ、関係者、合意済みの条件を確認した。

今回どこまで行うかを決め、目的や権限を明らかにする。追加の依頼は、範囲への影響を確かめる。

スコープ
成果物と、そのために行う仕事の範囲。
プロジェクト憲章
目的、責任者、権限などを示し、プロジェクトを正式に認める文書。
ステークホルダー
仕事に関わり、影響を与えたり受けたりする人や組織。
詳しい説明・条件・具体例

プロジェクトは、固有の成果を生むための期限のある活動です。その目標達成に向け、計画や作業を管理するのがプロジェクトマネジメント。日々同じ仕事を繰り返す運用とは性質が違います。

スコープ
成果物と、そのために行う仕事の範囲。対象外も明確にします。
プロジェクト憲章
目的、責任者、権限などを示し、プロジェクトを正式に認める文書。
ステークホルダー
利用者、事業部長、開発者、取引先など、活動に関与し、影響を受けたり与えたりする人・組織。

PMBOKはプロジェクト管理の知識体系です。従来の整理には、立上げ・計画・実行・監視コントロール・終結の5プロセス群と、統合、スコープ、スケジュール、コスト、品質、資源、コミュニケーション、リスク、調達、ステークホルダーの10知識エリアがあります。版によって構成は異なります。

変更の窓口と判断手順を設けると、断る・受けるの二択ではなく、費用、期限、範囲を調整する会話ができた。

WBS・ガントチャート

「テスト」という一行の下に、準備、実施、不具合対応、再確認が隠れていた。葵は作業を分解してから、時間へ配置し直した。

WBSで必要な作業を分ける。ガントチャートで、いつ・どのくらいの期間行うかを示す。

12作業を時間軸に置くガントチャート
設計は第1週から第2週、実装は第2週から第3週、テストは第3週から第4週の予定を示すガントチャート。1週2週3週4週設計実装テスト
横軸が時間、縦軸が作業。これは工程を重ねた計画例であり、すべての開発がこの日程になるわけではありません。
詳しい説明・条件・具体例

WBS(Work Breakdown Structure)は、成果物や必要な作業を段階的に分解した階層構造です。抜けや認識ずれを減らし、見積り・担当割当てにつなげます。時間の前後を示す図そのものではありません。

ガントチャートでは、予定期間や進捗を横棒で表します。予定に対してどの作業が遅れているかを確認できます。

WBSは何をするか、ガントチャートはいつするか。作業の抜けと日程の無理を、違う道具で確かめた。

クリティカルパス

短い作業を先に終えれば間に合うと思っていた葵は、依存関係のある経路をたどった。小さなPERT図で、Aからだけでなく、BからCへ進む経路も確かめる。

開始から終了までで、所要時間が最も長い経路。ここが遅れると、全体の完了も遅れる。

13最も長い経路は、B → C → E
A1日、C2日、E6日の経路。B5日、D2日、F4日の経路。B終了からC開始へのダミー依存関係があり、BからC、Eの13日がクリティカルパス。A:1日B:5日C:2日D:2日E:6日F:4日0日
新卒ITコンサルタント

Aを一日早く終えれば、全体も一日縮みますか。

佐伯
先輩ITコンサルタント

Cを始めるには、もう一つ待つ仕事があるね。

葵は点線を指でたどった。作業時間がゼロの線だからと、さっきは見落としていた。

新卒ITコンサルタント

Bです。Aだけ終わってもCは始められない。人を追加するなら、どこが全体を止めているかを先に調べます。

佐伯
先輩ITコンサルタント

うん。ただ、人数を増やせばその分だけ短くなるとも限らない。担当者と、短縮できる作業か確かめよう。

会議用の予定表から、根拠なく足していた「一日前倒し」を消した。代わりに、依存関係を確認する打合せを入れた。

詳しい説明・条件・具体例

アローダイアグラム(PERT図)では、矢印が作業、結合点が作業の開始・完了などの状態を表します。点線のダミー作業は、日数ゼロで依存関係だけを示します。

三つの経路を比べる

  1. A → C → E:1 + 2 + 6 = 9日。
  2. B → D → F:5 + 2 + 4 = 11日。
  3. B → ダミー → C → E:5 + 0 + 2 + 6 = 13日。

最長の経路がクリティカルパスで、この例の最短完了期間は13日です。CはAだけでなくBの完了も待ちます。一つの短い経路が終わっても、すべての作業が終わるまではプロジェクトは完了しません。

新卒ITコンサルタント

BからC、Eの13日が全体を決めるんですね。短い作業だけ急いでも、公開日は早まりません。

ファンクションポイント法・人月

人を倍にすれば半分の期間で終わるという案を、井上へ相談した。

井上
開発会社のPM

新しく入る方への説明と、作業を分ける調整が要ります。同時に進められない部分もあるので、人数だけでは割れません。

葵は人月の計算を、単純な人数割りにしないようにした。

機能から開発規模を見積もり、作業量を人月などで表す。作業量とカレンダー上の期間は別。

工数を表す単位人日・人月 = 人数 × 作業期間
14リスクへの四つの対応
回避危険の原因となる計画をやめる
軽減テストなどで確率・影響を減らす
転嫁保険や契約で負担を移す
受容備えを検討したうえで受け入れる
詳しい説明・条件・具体例

ファンクションポイント法は、外部入力・出力・照会・データなどの機能を、その複雑さに応じて評価し、ソフトウェアの規模を見積もる方法です。単なるコード行数ではなく、利用者に提供する機能に着目します。

4人月は、計算上は1人で4か月、2人で2か月、4人で1か月の作業量です。ただし、実際の仕事には順番の制約、技能の差、引継ぎや調整があるため、人を増やせば比例して短縮できるわけではありません。

作業規模、並行できる範囲、連絡の増加、リスク対応を並べて、現実的な見積りの前提を合意した。

見積りの自動作成は次の候補へ回し、試行の範囲を守ることになった。

森川
事業部長

まずは標準部品の受注と出荷を、合意した条件で試しましょう。営業の要望も、次に検討する材料として残してください。

新卒ITコンサルタント

はい。追加が必要になる条件と、再検討の時期も記録します。

ちょっと考えてみよう9日、11日、13日の経路がある。全作業の完了までの期間は?考え方をひらく +

13日です。最長経路がクリティカルパスになります。短い経路の合計や平均ではありません。

05
止まったときと、繰り返さないための仕事

復旧したから、終わりでいい?

サービスを戻す仕事と、再発を防ぐ仕事を分ける。

運用設計|既存ERPの障害記録を読む

小野が、以前のPOS障害の記録を見せてくれた。

小野
生産管理責任者

再起動で戻ったので、その後は特に調べていません。忙しい時間だったので、戻って助かったという感じで。

新卒ITコンサルタント

そのときの対応を教えてください。利用を戻す手順と、原因を調べる引継ぎを分けて確認したいです。

葵は新システムでも同じことが起きないよう、対応の流れを確かめた。

佐伯
先輩ITコンサルタント

今困っている人を助けることと、繰り返す原因を調べること。急ぐ順番は違っても、両方必要だね。

SLA・SLM

「すぐ対応します」という説明を、葵は受付時間、応答、復旧目標、報告の条件へ分けた。

SLAでサービスの品質を合意する。SLMで実績を測り、約束を守れるよう管理・改善する。

15決めた品質を、測って改善する
SLA提供者と利用者が合意する、サービスの範囲・水準
SLMサービス水準を測定・評価し、維持・改善する活動
詳しい説明・条件・具体例

ITサービスマネジメントは、利用者に価値のあるサービスを継続して提供するための管理活動です。ITILはその実践を整理した枠組みです。期限のある開発プロジェクトだけでなく、日々のサービスを見ます。

SLAには、稼働率、サポート時間、問い合わせへの初動時間、未達時の扱いなどを定めます。「いつでも使える」のような曖昧な言葉ではなく、測定できる条件にします。

SLAで約束をそろえ、SLMで測定と改善を続ける。契約した時点ではなく、運用で満たされているかを見ることが大切だった。

インシデント管理・問題管理

既存ERPの障害で、再起動による復旧と、原因が不明なままの状態を分けて記録した。

インシデント管理は早く復旧させる。問題管理は原因を探り、再発を防ぐ。

16同じ障害でも、目的が違う
インシデント管理サービスをできるだけ早く復旧する
問題管理根本原因を探り、再発や影響を抑える
サービスデスク
問い合わせや障害報告などを一元的に受け付ける窓口。
エスカレーション
窓口だけで解決できない問題を、上位者や専門部署へ引き継ぐこと。
FAQ
よくある質問と回答をまとめたもの。
チャットボット
対話の形で案内や応答を行うプログラム。
詳しい説明・条件・具体例

一時的な迂回で受注を再開できれば復旧には役立ちますが、原因が残っていれば再発します。原因調査の完了を待って、すべての復旧を遅らせる必要はありません。

サービスデスク
問い合わせや障害報告などを一元的に受け付ける窓口。
エスカレーション
窓口だけで解決できない問題を、上位者や専門部署へ引き継ぐこと。
FAQ
よくある質問と回答をまとめたもの。
チャットボット
対話の形で案内や応答を行うプログラム。
新卒ITコンサルタント

まず利用を戻す対応を進めて、再発する原因は別に管理します。戻ったから調査不要、にはしません。

UPS・設備管理

電源タップの場所まで見に行くと、小野が笑った。

小野
生産管理責任者

コンサルタントって、そこも見るんですね。画面の相談だけかと思っていました。

新卒ITコンサルタント

私も最初はそう思っていました。でも、ここで電気が止まると、画面も使えなくなるので。

停電や電源の異常に備える。UPSは一時的に電力を供給する装置で、長時間の発電設備とは別。

サージ防護
落雷などの過大な電圧から機器を保護します。
UPS|無停電電源装置
停電時に一時的に電力を供給し、安全な停止や電源切替えを支えます。
詳しい説明・条件・具体例

ファシリティマネジメントは、設備や建物などを管理・最適化する活動です。システムでは電源、空調、防火、設置場所なども対象になります。

サージ防護
落雷などの過大な電圧から機器を保護します。
UPS|無停電電源装置
停電時に一時的に電力を供給し、安全な停止や電源切替えを支えます。無期限に動かせる装置ではありません。

葵はUPSやサージ防護、設備の条件を確認した。画面の説明だけでは守れないサービスの土台が、足元にあった。

葵は連絡先、復旧の目標、原因調査を引き継ぐ相手を分けた。業務を止めない約束が、曖昧な「安心サポート」から、確かめられる運用条件へ変わった。

ちょっと考えてみよう一時的な切替えで受注を再開した。これは主にインシデント管理? 問題管理?考え方をひらく +

早期のサービス復旧なのでインシデント管理です。なぜ故障したかを分析し、再発を防ぐ活動は問題管理です。

06
自分たちの仕事を、別の目で確かめる

自分で作ったものを、自分だけで合格にしない

独立した確認と、責任を分ける仕組みを用意する。

管理手順の確認|本社・監査担当との打合せ

葵は「すべて自分でチェックした」と報告したかった。けれど、承認の欄には自分の名前しかない。佐伯が、第三者の視点を入れる理由を説明した。

新卒ITコンサルタント

頑張って見直したことと、独立した立場で確かめることは別ですね。

システム監査

監査担当が何を確かめ、開発や運用の担当とどう独立するかを聞いた。葵は、作った人のテストと監査を同じ欄に入れないようにした。

対象の仕事から独立した立場で、管理が適切かを証拠に基づいて確かめる。

17依頼・調査・報告・改善の役割
監査依頼人目的や対象を示して監査を依頼する
システム監査人被監査部門から証拠を集め、評価する
監査報告依頼人へ結果や改善の必要性を伝える
被監査部門指摘を受けて改善を実行する
システム監査
情報システムのリスク管理や統制などを評価します。
情報セキュリティ監査
情報資産の保護に関する管理や対策を評価します。
会計監査
財務諸表などの適切性を評価します。
業務監査
販売、製造などの業務の適切性や効率性などを評価します。
詳しい説明・条件・具体例

監査は、対象から独立した立場で、証拠を集め、基準に照らして評価する活動です。必ず社外の人だけが行うわけではありません。

システム監査
情報システムのリスク管理や統制などを評価します。
情報セキュリティ監査
情報資産の保護に関する管理や対策を評価します。
会計監査
財務諸表などの適切性を評価します。
業務監査
販売、製造などの業務の適切性や効率性などを評価します。

監査人には、利害関係などから見た外観上の独立性と、偏りなく公正に判断する精神上の独立性が求められます。

新卒ITコンサルタント

開発のテスト記録があれば、監査にもそのまま使えますか。

佐伯
先輩ITコンサルタント

資料にはなるけれど、確認する目的と立場は違う。監査の対象と、必要な根拠を担当者に確かめよう。

新卒ITコンサルタント

作った人が動作を確かめたことと、独立した立場で確認したことを分けて、提出する記録をそろえます。

システム管理基準・システム監査基準

管理をどう行うべきかという基準と、監査をどう進めるかという基準。似た名前を、葵は評価する対象から区別した。

管理基準は、管理される側の判断の物差し。監査基準は、監査を行う側のルール。

18誰の行動を導く基準?
システム管理基準組織がシステムを適切に管理するための判断のよりどころ
システム監査基準監査人が適切に監査を行うためのよりどころ
詳しい説明・条件・具体例

監査人自身が対象業務の責任者として改善を実行すると、自分の仕事を自分で評価する問題が生じます。改善の実施責任と、独立した評価の責任を分けます。

どの基準に照らして、何を示す記録が要るかを確認する。資料を大量に渡すより、根拠をたどれるようにすることを意識した。

内部統制・職務分掌

同じ人が取引先を登録し、支払いまで承認できる運用を見つけた。葵は、悪い人がいるかどうかではなく、誤りや不正が起きにくい仕組みを相談した。

一人で申請も承認も完結させないなど、組織の仕組みで不正や誤りを防ぎやすくする。

コーポレートガバナンス
取締役会や株主などが、経営を適切に監督する仕組み。
内部統制
業務や報告を適切にし、法令を守るための組織内の仕組み。
職務分掌
権限や責任を明確に分けること。
IT統制
アクセス権や変更管理など、ITに関する管理と、ITを使う管理。
コンプライアンス
法令や規則、社会的な要請などに従って行動すること。
ソーシャルメディアポリシー
業務や私用のSNS利用で守るべきルールを定めるもの。
詳しい説明・条件・具体例
コーポレートガバナンス
取締役会や株主などを含め、企業の経営を適切に監督・規律付けする仕組み。
内部統制
組織の中で業務の適正さ、報告の信頼性、法令遵守などを支える仕組み。
職務分掌
権限や責任を明確に分けること。例えば申請者と承認者を分けます。
IT統制
アクセス権、変更管理、承認処理など、ITに関する統制とITを使った統制。
コンプライアンス
法令や規則、社会的な要請などに従って行動すること。
ソーシャルメディアポリシー
業務や私用のSNS利用で守るべきルールを定めるもの。

「全員を信用しない」ためではなく、誤りや不正に一人で気づけなくても、別の人や仕組みが止められるようにします。受注の取消しや返金にも、記録と確認の分担が役立ちます。

職務分掌や内部統制を、役割と操作権限へ落とす。人を疑うためではなく、人の注意力だけに頼らない仕事にするためだった。

承認、支払い、権限の変更を、誰が依頼し誰が確認するかが決まった。計画は整った。次は実物のデータや処理を前に、葵自身が技術の言葉で確かめる場面が増えていく。

ちょっと考えてみよう経費を申請する人と承認する人を別にする。どんな内部統制の工夫?考え方をひらく +

職務分掌です。一人が申請から承認まで完結できないようにし、誤りや不正を防ぎやすくします。

この章、おつかれさまでした!

「できます」の前に、確かめることがある。

範囲と変更の決め方、受入基準、運用の役割がそろいました。次は、開発側が出す数字や条件を、葵自身が読み解く番です。

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